もう一つの長良川ホワイトウォーターフェスティバル2010

いまさらですが、そしてすでに学生チームの活動報告としてはエントリーがありましたが、WTP所属メンバーからもう1チーム活動していましたので、ご報告を。

nagaragawa

10月9~11日の3連休に「長良川WWF」に参加しました。今年でなんと17回目を迎える大会で、数あるラフティングレースの中でもなかなか熱いレースです。(公式サイト→ http://www.odss.co.jp/gifu/wwf/

さて、そんな長良川WWFに僕が参加してから今年で6年目。最初の3年は学生としてラフティング部門に参加しましたが、4年目からはラフトボートを降り、インフレ(ダッキー)部門に参戦。ダッキーでレースに出始めて今年で3年目です。2人乗りということで、当然パートナーが必要ですが、現在わがクラブの監督として部を率いているO氏と3年連続で「ワンダラーズ(旧、カンコーカイ)」として出場しています。

昨年までの実績は、毎年初日のスプリントでは4位と好ポジションにつけるものの、その後のH2Hでは、コンディション不足やら装備トラブルやらで、決勝メンバーの中ではダントツビリに落ちる、翌日のスラロームでは流れが読めずたくさんのペナルティを食らって挽回どころかさらに順位を落とし、最後のダウンリバーで燃え尽きながらも、少しだけリカバリーする・・・という流れで少しずつ前進してきました。

今年は、昨年の大会後に、勢いでO氏が購入した最速ダッキー「リンクスⅡ(AIRE)」にまたがっての参戦。これまでの借り物「トムキャット(AIRE)」よりはポテンシャルも上がっているはずなので、「スプリント4位以内」、「H2Hでの一回戦勝ち上がり」を目指し、後日の競技種目でも順位を落とさずに「上位争いの中で存在感を出していく」・・といった目標を掲げて挑みました。

先に結果から、書いてしまうと、

スプリント 5位

H2H 5位(一回戦敗退VS UNKONY)

ダウンリバー 8位

スラローム 2位

となり、総合では4位と、結果的には過去最高の成績で終わることができました。

(出場チーム数は、近年では最多の17チームと多かった。)

種目ごとに評価すると、具体的な目標を設定して挑んでいたスプリント・H2Hという初日の競技では目標ラインに届きませんでした。ただし、スプリントは、30秒間隔スタートの中、前のチーム(一橋1年生コンビの「多摩ジェンヌ」)に追いついてしまい、結果両チームとも失速してしまうという残念な事態を招いてしまった中での結果であり、3位・4位との差は2秒以内に押さえました。これまでは、遠く及ばない開きがある4位だったことを考えれば、上位チームの仲間入りという目標は達成かなと考えています。

続くH2Hでは優勝候補の一角であるUNKOMANチームとの対戦。O氏はUNKOMANから「泥仕合だけはやめましょう」と先手を打って、さんざん牽制されていた模様。どうもスタートとプレッシャーに弱く、早々にペースを乱してしまい、まるで良い漕ぎができなかった。とはいえ、泥仕合に持ちこまなかったことによって、お互いに良い結果を残すことができ、ギリギリで5位を死守。1日終えた時点での成績は過去最高ということで、満足しています。

悔やまれたのは2日目のダウンリバー。これまでは盛り返してポイントを取り返す競技であり、順位を落とすことだけは避けたかった。異例の増水で、例年と違うタイムスケジュール(2日目と3日目の競技種目交換、時間の変更)になる中、我が部の学生チーム(ラフト)とともに直前練習を実施。おそらく全チーム中で我々だけが、唯一通しで本番コースを直前に練習していたのだと思います。色々確認できてよかった部分はありましたが、練習では下れていた瀬でフリップしてしまうなど、せっかく体力を使って行った下見ダウンリバーの経験を100%生かせなかった他、他チームを意識しすぎてペースを調整できない中、不完全燃焼で終わってしまいました。ただし、上位チームの漕ぎ、ライン取りを確認できたことで、皆さんも失敗しているんだなということがわかり、生意気な話ですが、差はそこまで遠いわけではないのかな・・・と認識できたことは一つポジティブなところ。後から振り返れば、自分たちの力量や性格などを考えると、最初から飛ばして、先行逃げ切りのレース展開が向いていたのだと思いますが、今回は様子見に様子見を重ねすぎるという「やや保守的な」レース展開で臨んでしまっていました。それをアグレッシブに改善するだけでもかなりの伸びシロはあろうかと思います。

最終日はスラローム。上出来だと思います。早朝に学生たちと共に1本練習を行ったうえで、スカウティングをしました。例年であれば、午前、午後と2本トライができ、タイムの良いほうが成績として反映されるもの。今年は増水対応で、最終日に行われ、運営の都合上1本のみとなってしまいました。設置済みのゲートで流されてしまったものもあったようで、ゲートの数は例年12本が、10本に変更。うち、ダッキー部門については指定の一つがパスというルールになっています。したがって、通過すべきゲートは9本となります。それにしても、今回の大会運営は例年にも増して忙しかったと思います。僕たちが楽しく遊べるのは、大会運営に関っている皆さんのお陰です。本当にありがたいことです。

さて、アップゲートが前半、後半にわかれて計2か所、ここをどうトライするかが分かれ目となります。早朝に下ってみた感覚を頼りにしつつ、次々と設置されていくゲートを確認しながら一つひとつ入念に下見を行います。今年は例年以上に、話し合い、細かいラインを共有しました。その際、我々の運命を決めたのは、「保守的に行く」という基本スタンスでした。前日のダウンリバーでは保守的に構えたことが失敗との判断がありましたが、1本しかできないレースということもあり、全ゲートの通過を目指し、自分たちの力量に合わせて保守的で確実なラインをとろうというスタンスで臨んだ。肝とされている8番アップゲートへのアプローチは、何度か話し合ううちに取るラインを何度も修正しました。いっそのことパスしようかという案さえも浮上したものの、全ゲート通過を目指して、上位に食い込むという目標を再確認し、ハナからあきらめるなんて選択肢はないと決意を新たにして挑みました。

結果は100%の成功ではなかったものの、いいラインを描けたと思います。事前練習で流れの状況を掴み、入念な下見と下るラインの共有を行ったことが成功の直接の要因だと思いますが、今回はメンタル面で様々なフォローもあったと感じています。

それは、多くの人の応援の声。スラロームは、レースの順番がラフト部門よりも先となり、インフレの下位順位から行われます。(2日目までの総合順と言われていたが、初日終了時点の総合順位でスタートになっていた模様。結果、我々は前から13艇目で後ろからは5艇目。)

開始からコンスタントに出て行き、12艇下ったところで、コマーシャルラフティングのラフトを通すために、大休止を設けることになってしまいました。前の船との接触を心配しなくてよくなったことはありがたいのですが、時間が空いてしまうとコースで漕いでいるのが自分たちだけになります(=考えすぎかもしれませんが、必要以上に目立って注目されてしまうことにもなります)。ただでさえ、自身のレースまでに時間の余裕のあるラフトの上位チームは、川の状況を知るために、ダッキーのラインを観察していたりするのです。

レース開始までの正確な時間の見通しも持てなくなってしまい、いらぬ緊張感も高まってきました。実際に相当待ちました。逆に緊張の糸が途切れそうなくらいでした。そのような状況の中で、ようやくカウントダウンが始まり、いざスタート。すると、出発地点に残っていた上位4チームのみなさんは一斉に我々にむかって「頑張れっ!」と声をかけてくれました。この掛け声で間延びした気持ちもキュッと引き締めることができ、自分の精神状態には大いにプラスに働きました。

これはレースであり、他者との競争をしているのであり、出場他チームは、一応「敵」という位置づけになる。けれど、ことスラロームについては、自艇がいかにいいラインを通れるかの本質を競っているわけで、H2Hのようにぶつかり合って蹴落として勝者を選ぶ競技ではない。自分との戦いであるからこそ、自然と声を出して応援しあう雰囲気、いわゆるスポーツマンシップがこの競技の競技者には普通にある。皆でベストの成果を出したうえで、その中で一番をとりたいという思いはきっと多くの競技者に共有されていると思います。そこが面白いところでもあります。

そんな良い緊張感を保ったまま、冷静に忠実にラインをたどったわけでしたが、レース後半でも学生チームの後輩たちに加え、関東の他の顔見知りの大学生たちの応援も聞こえるほど、リバーサイドからの声を感じることができました。くさい書き方になりますが、多くの人の声によって支えられて出せた結果であるのだと思います。レース後、残りの上位チームを観戦したあとは、ダッキーを担いで上流へ向かっいましたが、見ていた多くの方々に声をかけていただき、気持ちもよかった。

肝となっていた8番アップゲートへのアプローチについては、直下のエディーに食いつくことができたチームは、ダッキーでは我々だけであったようで、成果がでたことに満足しています。ただ、1位の美並カヌークラブさんは、8番ゲートをパス(不通過では50秒のペナルティ加算)して、最速で漕ぎ抜ける戦略をとっていて、結果2秒差で負けとなってしまった。全ゲート通過をいいラインで通過したチームが勝てるべきだと思うので、もう2秒をなんとかしたかったという気持ちもやは残ります。とは言え多くの声に支えられ、気持ちよい結果が出せたことは本当にうれしいことです。

この「躍進」によって、総合順位は一気に4位に到達。表彰台こそ届かなかったものの満足できる結果です。年々、我々が成長できているのは、現役チームが様々な技術と練習方法を学び、開発し、努力を続けている中でそのエッセンスを分けてもらっていることによるものが大きい。また、今回のスラローム2位は、当初、ペナルティなしで通過したはずのゲートについて、不通過判定されてしまっていたので、抗議を申し立てて一度与えられた評価を覆すことで手に入れた順位でもあります。

学生チームが映像をとってくれていなかったら、ありえなかったことで、本当にありがたい。実際に我々の前を下った亜細亜大学のチームも、判定に同様の疑問があったようだが、映像がなく異議申し立てができなかったようで、それについてはかわいそうであった。そういう意味で、スラロームを観戦する際には、多くのチームの映像を残してあげることも意味のあることなのだとわかった。

そんな学生チームがレースでは全ての実力を出し切れなかったことについて、努力の時間を知っているだけになんともコメントしがたいが、前向きのエネルギーにかえて次のラインを目指していってもらいたい。

3連休を使うレースへの参加は、練習も含めれば大変多くの時間とエネルギーを費やしているので、出場するだけでも今の自分にとっては決して楽なことではありません。それでも、今回もレースでは多くのことを学べました。いつまで続けられるかは全くわかりませんが、自分なりの形で可能な限り関り続けたいと考えています。

最後になりましたが、今年も素晴らしい大会を開いて下さった大会主催者の実行委員会の方々を始め、多くの関係者の皆さまに感謝いたします。ありがとうございました。

HARU@57

~WTPは早稲田大学ワンダーフォーゲル部現役を応援しています。~