62代秋合宿 大無間山~光岳(MUGEN☆光隊)(10/20~24)
抜粋エピソード
10/23
4:15、起床。餅ラーメンをかっこむ。まだ暗いが、今日は勝負日、稜線もはっきりしているから早めに出たいところだ。エレキをつけて、5:20出発。空に雲はない、澄んだ空気、今日は晴れる。すたすた進み、1913m付近。44代が幕場にしたというこの場所は、よい感じに色づいた広葉樹が立ち並ぶ、素敵な広場だ。
徐々に明るくなる東の空、大根沢山が浮かび上がる。でっかい!左斜面のガレ場を通り過ぎ、北面に広い尾根を伸ばす樺沢ノ頭に到着。信濃俣と椹沢山の双耳峰が眼前に現れる。道は明瞭、テープもしっかりとあり、すっきりとした青空のもと、気持ちの良い樹林の中を進んでいく。11:30のリミットも心配なさそう、2時間早く到着。広々とした山頂は、テント場にも最適だ。左側は壮絶なガケで不動岳方面の眺めが素晴らしい。
信濃俣からの下りで、やや手こずる。しばらく行って、やや長い一本。水の制限がない今、“もしもウォーター”をここで開放することに。粉末ポカリをぶち込み、アホみたいにシェイク。ペットにむさぼり吸いつくメンバー。ちょっと誇張しすぎたが。体に染みわたる水分は、最高に満ち足りた気分にさせてくれる。
リフレッシュをすまし、出発。この後はコブが連続し、急な上り下りに地味に苦しめられ、一瞬藪が濃い場所をいくつか通過したり、新人の読図精度も徐々に落ちていく。なんやかんやで、遂に道に到着!立派な標識を見ると、なんだかホッとする。すぐさま、ノリノリで歌い始めるK山。右側の視界に、富士山がときどき垣間見られる。
2542mあたりから、這松群生地。展望が開け、目前に光岳、イザルガ岳、が眼前に現れる。ウキウキ気分で快調に飛ばす。私は何故か急に気分が高揚して、思わず飛び込んでしまった。膝下にも及ばぬ這松は、知床の大人這松に比べれば子供這松。はっはー!って感じだ。大して時間もかからず、光小屋にたどり着いた。(四年 N記)
南アルプス上空はどうやら飛行機の通り道になっているようだ。空を見上げても、木々が空を覆っている。しかし、飛行機の轟音は聞こえる。そういえば、3月に北海道に受験のため行った時、上空から深い山々が見えた。それはきっと南アルプスだったのであろう。その時はまだ雪に覆われていた。私は上空から自然の壮大さに心打たれていた。まさか、自分がその地に降り立つとは思ってもみなかった。
あの飛行機はどこから飛んできたのだろう。中部国際空港だろうか。故郷のことが思い出される。南アルプス。ちょうど東京と名古屋の間あたりに位置している。まるで私のことを邪魔しているようだ。故郷に帰りたいと思うことは度々ある。しかし、そこに私の居場所はない。それを私に諭すかのように南アルプスはそこにいる。
あの時、飛行機に乗っていたとき、私はそこに降り立つことを予期していなかった。しかし、いつかはそこに行くだろう。いや行かなければならない。と思った。日本でまだ行ったことのない場所がある。行ったことのない場所へ行きたい。その思いは今もあの時も変わらない。行って何になるのだろうか。そんなことはどうでもいい。理由はいらない。行きたいから、行く。
マイナーな大無間山。なかなかここに来る機会はないだろう。道なき道を進んだ今合宿。まだ行っていない場所に行くことができた。行く機会がない場所に行けてよかった。
(新人U 感想文より)