ワンゲルを通じた最大の学び

過日9月29日に64代部員総会が行われた。63代の活動報告、63代委員の所感と、64代委員の紹介とそれぞれが今後の一年間について抱負を語った。また、63代とともにコーチを退任する私、横塚と、64代よりアドバイザーとして新任する廣光さんより挨拶があった。

上述の通り、部員総会をもって私はコーチを退任する。数えれば5年半ほどワンゲル部に関わったこととなる。58代の下半期にワンゲルの門を叩き、61代で代を執り、そして62代でアシスタントコーチ、63代でコーチとして関わらせて頂いた。振り返ってみれば本当にたくさんのことを思い返す。辞めてやると思ったこと、活動に没頭したこと、叱られたこと、同期とケンカしたこと、泣いたこと、激流に挑戦し強い一体感を感じたこと、動けないほどの吹雪の中で生を実感したこと、猛烈な藪を漕いだ後の爽やかな空気に心地よさを感じたこと、海に落ちる夕日に感動したこと、激しく後悔をしたこと、人を育てること、話したこと。

一体全体、ワンダーフォーゲルとは何なのだろうか。5年半という月日を経て、様々なことを経験したが、それでも全く分からない。 本当に面白い。考えても考えても、いつも新鮮な視点と驚くべき発見をそれは与えてくれるのである。不思議なことは、上述した思い出の群れが現れると、同時にそれが現れてくることなのだ。

ワンゲル部を通じての最大の学びはこの点にある。つまり、「~とは何か」を探求することが、結果的に、経験的に最大の成果を生むことに繋がることだ。そもそも「~とは何である」と答える前に「~とは何か」という問いを立てねばならない。この構造はとてつもない意味がある。その成果というのは損得勘定の話ではない。

ワンゲルとは何か、登山とは何か、ラフティングとは何か、山スキーとは何か、実力とは何か…。

たくさんの問いがある。

何故、「~とは何か」という問いを探求することが最大の成果に繋がるかというは、それは、対象そのものの深い理解に繋がるからである。深い理解が、何をすべきかを示してくれるのだ。

翻って、今のワンダーフォーゲル部の現役部員に最後の最後に(元)コーチとして伝えたいことはこの「ワンゲルとは何か」という問いを通じて、物事を深く理解する考え方や姿勢を体得して欲しいことだ。より良いワンゲル部、より良い代にする、より良い活動をするためには、まず深く理解することが必要である。その手段としては、理解する姿勢で、多くのことを学び、何も分かっていない現実を直視し、意味を捉え直し、仲間と議論を重ねることが経験上最も有効である。

そうしてみんなで考えればいつか「ワンダーフォーゲルとは何か」という答えが得られるかもしれない。そのときには、全ての人が純粋に笑っているのだろう。

今まで本当にたくさんの思い出を得られました。心から感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

61代横塚